販売台数・保有台数ともに減少を続ける原付一種

自動車免許を取ると自動的に運転できるようになる原付一種は、これまで手軽な交通手段として多くの人に親しまれてきました。
また、自動車免許がなくても原付免許なら1日で取得できるため、買い物の足代わりに利用する家庭の主婦も多かったものでした。
ところが、そんな原付一種なのですが、ここ30~40年で販売台数は減少の一途をたどっているというのです。

日本自動車工業会の発表する情報によると、原付一種は1980年に販売台数がピークを迎え、その年だけで197万台以上も販売されました。
ところが、それから40年後の2020年のデータではたった12万台あまりに落ち込んでいます。
ピークと比べて6~7%しか売れていないということです。

一方、同じ原付でも原付二種はまだある程度需要を保っています。
やはり原付二種もこの40年で販売台数を減らしているのですが、1980年に約20万台だったのが2020年に10万台強ですので、なんとかピーク時の半分ほどの販売台数は維持できているのです。
また、2000年以降はずっと販売台数10万台を維持しています。

それに比べて、原付一種は需要が大きく落ち込んでいると言わざるをえない状況です。
販売台数が大きく減少したのとおなじく、保有台数も激減しています。
日本自動車工業会では原付一種の保有台数の情報も公開していますが、それによると1985年に1460万台あまりだったのが、2020年にはわずか485万台まで少なくなっているとのことです。

それに対して原付二種は、保有台数は逆に増えています。
1985年には171万台だったのが、2020年には181万台以上も保有されているとのことですので、原付一種と比べるとまだまだ需要は高いと言えるでしょう。

各メーカーも原付一種のラインナップを減らしている

販売台数、保有台数ともに大きく減少している原付一種ですが、各バイクメーカーもそれに合わせるかのように原付一種のラインナップを縮小しています。
すでにホンダはディオやモンキー、エイプを、スズキはバーディーの生産を2017年に終了しました。
現在も残っているラインナップは、ホンダが8種、スズキとヤマハが3種ずつです。

なぜメーカーが原付一種のラインナップを縮小しているのかというと、年々厳しくなっている排ガス規制に理由があります。
排ガス規制をクリアしようと思ったら、各メーカーとも莫大なコストをかけて開発しなければなりませんが、そうすれば必然的に販売価格もアップせざるをえません。
しかし、安価が売りの原付一種ですから、販売価格を上げると買い手がますます少なくなってしまいます。
電動アシスト自転車も普及している現在、ちょっとした足代わりに使うには原付一種はかつてほど魅力がないのかもしれません。