排気量ではなく最高出力でバイクの枠組みを区分

2025年10月に、原付一種に関する排ガス規制強化がなされることが決まっています。
この規制によると、現行の50ccクラスは事実上販売することができなくなります。
日常使いとしてはとても役に立つ原付がなくなるというのは、市民にとってはとても困ることですね。

こうした状況を考えて、警察庁はバイクの車両区分を変更する可能性について検討を始めていました。
警察庁では実証実験を行っていて、本格的に区分変更の道筋が見えてきたのです。

この車両区分の変更は、従来は一律排気量によって分けていたものを、最高出力によって区分するという点がポイントです。
そのため、最高出力を5.4PS以下に抑えたものであれば、125ccのバイクも原付一種として区分されることになります。
もしこうした変更が実現されれば、原付一種の幅が広がることになります。
というのも、現状では125ccクラスのバイクにはフルオートマだけでなく、ミッションタイプの製品も多くあるからです。

また、街乗り向けに限られず、スポーツタイプやオフロードタイプなども存在します。
これにより、小型バイクの裾野がずっと広がるのではという期待も生まれるわけです。
そして、今まで原付一種の新モデルを出していなかったメーカーがこの市場に参加する可能性も出てきます。

たとえばヤマハは、自社生産という形では50ccクラスを出していませんでした。
一方で125ccクラスはいくつものモデルを持っていて、世界的に見ると多数販売しています。
こうした優れたモデルが、日本でも新しい原付バイクとして売られることもありえるわけです。

区分変更で懸念されること

このように、基本的には区分変更によっていろいろなメリットが生まれますが、心配な点もいくつかあります。
たとえば、125ccにすることによって車両重量が増えますので、マシンコントロールの面で多少難易度が上がるということが考えられます。
体力のない方でも従来の原付であればそれなり簡単に操作できましたが、出力は抑えられるとはいえ、基本は125ccバイクですのでボディーは大きくなります。
こうした点は警察庁も懸念しているポイントとなるようで、操作性が難しくなったり、転倒の際にダメージが大きくなったりして事故が増えるのではないかという点がさらに検討されます。

もう一つは、規制強化までの時間が短いという点です。
まだ警察庁としても検討の段階ですので、実際に区分変更がなされるのはさらに先の話です。
そこから各メーカーが開発をして新原付としてモデルを生み出しますので、かなり厳しいスケジュールとなってしまうわけです。
もしかすると、多少のタイムラグが生じて新原付の登場が少し遅れる可能性もありますね。