初代スーパーカブC100は、「カブ」を世界中に知らしめた大きな存在です。1958年(昭和33年)8月に登場し、60年以上の月日がたちますが、カブの話題は尽きることはありません。今回は初代スーパーカブC100の特徴について一緒に振り返ってみましょう。
発売後瞬く間に人気を博した初代スーパーカブC100
創業者・本田宗一郎と専務・藤澤武夫が行ったヨーロッパ視察を得て、生み出されたのがスーパーカブC100です。キャッチフレーズは「ホンダが贈る豪華版!」。専門誌はもとより新聞や一般誌でも代替的に宣伝されました。
軽量化と量産性を兼ね備えるために、車体の各部に熱可塑性ポリエチレン系ハイゼックスの素材を採用。この素材を使うことでデザインの自由度をグンと高めました。ハイゼックス部品の調達が間に合わなかったモデルに関しては、代替のアルミダイキャスト製でフロントのカバーを作っていたとのこと。
運転のしやすさと高い性能を誇るモデルであったことから、発売初期には入荷待ちの状況が続き、発売後1年ほどで月産1万台を突破しました。スピーディーに製造ができるよう、スーパーカブを生み出す工場が新たに完成すると、月産3万台を大きく上回るまでに成長。この数字は開発段階での目標であったというから驚きです。
良いモノを残しつつ時代の流れに沿って変化する
スーパーカブC100の一つの特徴は、ブレーキパネルとスポークの部分です。前者にはトルクアームが装備され、スポークは全内張方式が施されました。ただし、トルクアームはコストがかかること、全内張方式が採用されたスポークは折れることが多かったため、1960年型で廃止されたそうです。
また、カブは「蕎麦屋の店員が出前を持っていく際、片手で運転できるもの」をコンセプトに製造されているので、出前の状況を考慮し、右手だけで運転できるよう工夫が施されています。自動遠心クラッチ装備のブレーキやスロットルグリップをはじめ、ウインカースイッチも右に設置。左手でのクラッチ操作は必要ありません。
シート下にあるタンクキャップ脇に貼られたシールも粋なもの。「ガソリンだけ入れて下さい 混合油はいけません」との文字が記載されています。発売当時は、ガソリンスタンドでも混合油が販売されていた時代で、かつ分離給油機構が搭載される前の頃。シールが昭和レトロ感をグンと引き立ててくれます。
栃木県にあるツインリンク内にあるホンダコレクションホールには、スーパーカブ C100をはじめ、ホンダのバイクや車が展示されています。興味がある方は一度訪れてみてはいかがでしょうか。